世界のパン
各国のパンの特徴と種類
フランス ヨーロッパ有数の農業国であり、昔から直焼きパンに最適な小麦が収穫される国です。
フランスパンは「小麦粉を味わうもの」とされ伝統的な製法が頑固とも言えるほど、正しく受け継がれています。
一般にフランスパンと呼ばれる「欧風堅焼きパン」がハードタイプのパンの中心です。
その第一条件は、表皮はパリパリした状態でこんがり焼けていて
香ばしい香りのするものでなくてはいけないとされています。
その上で内相は、大小さまざまな沢山の気泡と充分にふくらんだボリューム感があり
クリーム色がかかったものが「よいパン」とされています。
フランスパンの代表格は、「杖」という意味のバゲット。ほかにも大きさと形によっていろいろ分けられていますが、
一番大きいのはドゥーリーブル、やや太めのものはパリジャン、やや短めのものがバタール、
ほっそりしているのがフィセル、丸いものがブールなど、いろいろな名前が付けられています。
バゲット ・・・ 表面(クラスト)皮はパリパリ中はふんわりと独特の香味、
大きな不定形な気泡がある、小麦粉とイースト、塩だけで
つくられるシンプルなパン。パリジャン・バタール・クッペなど
生地の量や成型によって様々な種類があります。

クロワッサン ・・・ バターを生地に折り込んで焼き上げる三日月形のクロワッサンは
オーストリアのウィーンまたはハンガリーのブダペストからもたらされ、
フランスのパンとして発達したものです。
1683年、ウィーンはトルコ軍に包囲されましたが、それを撃退したことを記念して、
トルコ国旗についていた三日月形のパンを作るようになったという説もありますが、
この形のパンは古代文明国でも作られていたという記録が残っています。
それから1000年ほどたって、オーストリア王女、のちのフランス女王
マリー・アントワネットの結婚によってフランスへ伝えられたとされています。


ブリオッシュ ・・・ バター、牛乳をたっぷり生地に練りこんでつくるリッチなパン
(副材料の多い濃い味)なパン。17世紀にウィーンから伝えられた。
マリー・アントワネットが最も好んで食べたパンだそうです

ドイツ ドイツはパンの種類が500以上とも言われるパンの種類の多い国として有名です。
山岳地帯が多く、冬季の寒さの厳しいドイツでは主に、寒さに強い黒麦と呼ばれるライ麦を
使った酸味のあるパンが多く、北部でライ麦の収穫率が高いため北へ行くほどライ麦の
配合が高く、黒っぽいパンが多いのが特徴です。また、ドイツはライ麦と小麦を巧みに
使い分け、ロッケン(=ライ麦)ブロード、ヴァイツェン(=小麦)ブロード、ライ麦、小麦を混ぜた
ミッシュブロードなどと配合率によって呼びわけられています。
ちなみに、ドイツでは朝食は小型の小麦パン、昼食はジャガイモ、夕食はライ麦パンを食べるのが一般的。
プレツェル ・・・ アルカリ溶液につけて表面を固めてからやいた独特のツヤのある塩パン
バームクーヘン ・・・ ドイツの伝統的な祝い菓子。バウムは木、心棒。クーヘンは菓子と言う意味の輪廻の形をしたお菓子。
シュトーレン ・・・ クリスマスに食される有名なドイツ伝統菓子。砂糖、卵、バターを加えた発酵菓子の種類も多く、
その昔シュトーレン王がクリスマスに貧しい人々に分け与えたところに由来するという
シュトーレンは、リッチな生地にドライフルーツやナッツなどが
たっぷり入っていて、イエス・キリストのゆりかごを形どったといわれています
イギリス
プルマンブレッド ・・・ イギリスのサンドイッチ用の蓋付き型焼きの四角いパン。
イングリッシュマフィン ・・・ ベーキングパウダーで膨らませたパンを丸い形にはめて焼かれた白パン。
表面にとうもろこし粉をまぶしてある。
スコーン ・・・ 生地を仕込んでから一晩置いて膨化させてからやいたもの
アフタヌーンティとして紅茶と一緒にジャムなどを塗って頂く。
バンズ ・・・ イギリスの小型パン。柔らかく歯ざわりがいい。
イタリア イタリアは南北に長い国だけあって、地方によって作り方や味、形などがまったく違い、
そのため種類が多いのが特徴です。北部ではパンを、中部はパスタ、
南部はピッツアという風に土地でとれる小麦粉の性質でそれぞれ違う食べ方をします。
しかし、食事パンは主に、皮の固い塩味のあっさりしたパンを食べます。

グリッシーニ ・・・ 塩味のきいたスティック状のイタリアパン。イタリア全土にあり、主に食事の注文がくるまでにポリポリ食べる。
フォカッチャ ・・・ イタリア語で「火で焼いたもの」という意味でピザの原型ともいわれる円形パン。
ハーブを練りこみオリーブオイルを表面に塗ったものが主流。
パニーニ ・・・ ミラノで生まれたイタリア風サンド。生ハムやチーズなどを挟んで食べます。
パネトーネ ・・・ ミラノの菓子パン。日持ちがよく数ヶ月食べられる。熟成した強力粉、コモ湖の天然酵母を持ちいる。

アメリカ アメリカは広大な土地、気候風土に恵まれ、小麦をはじめ、農産物、畜産物が豊である。
また人種が様々であるように、パンの国籍も様々。あらゆる国のパンが融合して
いるのが特徴です。リーン(淡白な塩味)なヨーロッパのパンはアメリカに渡ると
小麦粉、バター、ミルク、鶏卵などを加えたリッチな配合になる。
ベーグル ・・・ ユダヤ人の間で食べられていたが近年ヘルシー志向により今ではアメリカで主流のパン。
一度茹でてから焼くので、独特のモチモチ感がある。
クリームチーズを挟んだり、ハムチーズなどをサンドして食べる。
トルティーヤ ・・・ アメリカ南西部、メキシコなどで食されるとうもろこしの粉を混ぜて焼いたもの。
これを揚げたのがタコス。
テーブルロール ・・・ 小型のロールパン。バターロールなど糖分がやや多い。
ロシア 広大な国土と多民族で構成されるロシアでは地方色豊な多種多様なパンが
あるが、総体的にライ麦の産地に近い北部では昔から黒パンを良く食べていた。

ピロシキ  ・・・ パン生地に肉や野菜のフィリングを詰めて焼いたり揚げたりしたもの。


オーストリア オーストリアのウイーンにはウインナ方式と呼ばれるバターや卵をたっぷり使った製法があり、
フランスのブリオッシュやデンマークのペストリーもこの製法で作られています。
しかし、普段はカイザーゼンメルといわれる、直ごね法で作られた硬めの塩味パンを食べます。

ザルツ・シュタンゲン ・・・ プレッツェルに似た発酵生地を棒状に固く巻いて岩塩をふりかけて焼いたパン

デンマーク デニッシュ・ペストリーというバターを折り込んだパン生地を使ったパンが有名です。
デニッシュ・ペストリーの生地の種類は多くありません。そのほとんどが、フィリング(詰め物)
とコーティング・トッピング(形態と装飾)の組み合わせです。デニッシュ・ペストリーと並んでデンマークの名物が
スモーレブロートと呼ばれるオープンサンドです。あっさりした白パンを8〜10cm角の薄切りにした上に
ベーコン、ハム、エビや酢漬けニシン、野菜やフルーツなどの具を使用した彩りや味の調和は芸術作品とも思える見事さです

デニッシュ・ペストリー ・・・ デンマークのパンという意味。19世紀の後半ウィーンの菓子職人が創作。各国に普及する。

  
北欧 
スウェーデン
ノルウェー
フィンランド
冬季の寒さの厳しい北欧ではパンは保存食として大切です。北欧三国では、  
オープンサンド、クネッケブロードに具をのせるスモーガスボードがあるのが特徴。
スウェーデンといえばオープンサンドという意味のスメルゴスブード。ベースになるのがクネッケブロード。
小麦、大麦とライ麦を混ぜて焼いた、たくさん穴のあいた板状の乾パンは、パリッとした歯ざわりと、香ばしい香りが特徴です。
この上に、色々な具、ときには60種類も並ぶという具を組み合わせてのせます。
ノルウェー独特のパンはレフサという、クレープの様に柔かくて薄いパンです。
小麦粉とライ麦粉を混ぜて焼いたレフサは、バターと砂糖をつけて四つ折りにして、とくに祝祭日に食べます。
普段は大麦とオート麦の粉で作った、せんべいの様な堅焼きパンが主食として食べられています。
フィンランドはロシアの影響を受けて酸味のあるライ麦パンが食事用となっています。
中でもパパンレイパやカレリヤランピーラッカはフィンランドではポピュラーなものです。

クネッケブロード ・・・ スウェーデンにある、小麦、大麦、ライ麦を混ぜて焼いた沢山の穴の開いた板状の乾パン
レフサ ・・・ ノルウェーでの祝祭日のパン、小麦粉とライ麦粉を混ぜたクレープの様な柔らかい薄いパンがある。
スラブローズ ・・・ フィンランドの酸味のあるライ麦パン。
スイス 近隣諸国の影響を強く受けたスイスにはカイザーロール、黒パン、バゲット、ブリオッシュ
など、様々なパンがある。スイスパンの特徴は土曜日になると家庭でパンを焼く習慣がある
スイスパンで有名なのが、ブリオッシュの変形タイヨレン。ティータイムには欠かせない甘いパンです。
ほかに、朝食を意味するベツグリ、日曜日パンと呼ばれる編みパンタイプのツオブリなどはスイス固有のパンといえるでしょう。
 
中近東 
インド・イラン
インドやイランなどではナンというパンの原形に近いパンが残っています。
このわらじ形の平焼きパンはタンドールと呼ばれる窯の内側に生地を貼り付けて焼きます。
この他にイランでは原料、焼き方、形状、厚みの違いによって、バルバリー、タフトゥーン、
ラヴァシュ、サンギャギとわけられ、インドではチャパティ、ロティ、パラタと種類が分けられている。

ピタパン  ・・・ 中が空洞になった平焼きパンでポケットパンとも呼ばれ、ポケットの部分にサラダなどの具を挟んでだもの。

チャパティ ・・・ 小麦の全粒粉に食塩を入れ、発酵させないで円盤状にして 油を用いず焼き上げる

中国 中国では西洋から発酵型のパンが伝えられても、そのままを受けつけられることなく
小麦は蒸しパン、包子、饅頭、餅など点心でおなじみの独特な食べ方を中心とした独自の食文化を形成しています。
パンは発酵後、「焼成」するのに対して、中国は「蒸す」という調理法をとっています。

包子  ・・・  詰め物を入れた蒸しパン

饅頭  ・・・  何も入ってないもの。おかずと一緒に食べる